「……確かに声かけたくなるくらい可愛い人だった」
 槇野くんがボソッと言った。
「見たことあるんだ」
「校門のとこにセーラー服がいたからさ」
 うちの制服はブレザーだからセーラー服は目立っただろう。……わかってきたけれど、槇野くんは割りと女子の話をしたりする。普通の男子っぽくアイドルでは誰が好きーとか、山地くんと話していたのを聞いたことがある。まあ、私は耳を限界まで研ぎ澄ませてゲットした情報だけど。そしてそのアイドルを直ぐ様、画像検索して「ふうん」って思った。

「つか、和田さん男バスに詳しいね」
 槇野くんが関心するように言う。

「槇野が詳しくなさすぎんのよ、何で知らないのよ。聞いてみなよ、工藤先輩に」
「彼女のこと?」
「F大の推薦の方だっ!」
「槇野くんって、やっぱり天然だよね」
 由紀恵が私と山地くんにだけ聞こえるようにこっそりとそう言った。

「俺……まだそんなに馴染めてなくて……」と、槇野くんがはにかんだ。
 そうだ、そうだ、この人ちょっと恥ずかしがりやさんなのだった。

「もー、ボール持ってなかったら地味!」と梨花子に一喝されていた。

「あ、うん」槇野くんがちょっとしょんぼりして
「でも、工藤先輩は話しやすいし、身長が同じくらいだから勉強になる」
 と、目をキラキラさせて言った。

「まぶしいわぁ、あの子、可愛いわねー」
 山地くんがおばちゃん口調で、そう言った。