7号ボールは、6号ボールに馴れている私にとってとても大きく感じる。

 油の匂いがする部屋。私の手にはシルバーブルーのバスケットボール。普通のバスケットボールよりつるつるしたエナメル素材。『高かった』って槇野くんが冗談で言ってた。ほんの少し傷があるけれど、普通のボールと同じくらい丈夫なのだろう。

 大切な預りものだからと、綺麗に磨いていた。無謀にも片手で持ってみようと試みる。持つというレベルには到底いかず、単にボールにの上に手を置いただけの人になってしまった。指を思いっきり開いても無理。掴む……となればこのくらいはいるかな、と手をずらしてみる。こんなに大きいんだ、槇野くんの手。

 槇野くんを真似て、指先でボールを回してみる。回るとは言いがたいレベルでボールは指先から落ちた。こんなんでも練習したらうまくなるのかな。練習する気もないのにそう思った。無理矢理回そうと、勢いをつけるとボールが手をすり抜けてバンッと顔面を直撃した。
「痛っ」鼻にヒットして意図せずに涙が出来てしまう。

「痛い! もう! 」
 痛いよ、もう。何かわからないけど、痛かった。そのままそんな生理的な涙に続いて、違う涙も出て来て、少し泣いた。

 ボールと友達になれそうにないな、私は。そう言った槇野くんを思い出して、少し……笑った。