君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

「…なるほど。やっぱり君が、翼の大切な人だったんだな」

「え?」

思わず顔を上げる。雪じぃは、静かに笑った。

「私は翼の祖父なんだ。君が見てきた絵画は、翼が描いたものだよ」

「うそ……」

知らなかった。翼が絵を描くなんて、一度も聞いたことがない。翼の部屋にも、画材なんてなかったはずだ。だけど、翼はやたらと空や木々、季節の風景をよく見ていた。でも、まさかそれが絵につながっていたなんて。

「翼はな、忘れたくない光景を絵に残すんだ」

雪じいの言葉に、胸が小さく跳ねる。忘れたくない光景。じゃあ――私が見てきたあの絵も。

「…君は、この続きを本当に知りたいかい?」

優しい声だった。けれど、その言葉の奥には、どこか重いものがあった。

「きっと、翼が君に見せたくなかったものを見ることになる。それでも、受け止める覚悟はあるかな」

胸が、ぎゅっと締めつけられる。怖くないと言えば、嘘になる。この先にあるものが、私にとって嬉しいことばかりじゃないかもしれない。それでも――。迷うことはなかった。

「…はい」

私は、まっすぐに雪じぃを見つめた。

「知りたいです。翼の、本当の想いを」