君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

「…翼」

グッと唇を噛みしめる。どうして?私たちは、こんなことになったのだろう。あんなに楽しかったのに。あんなに、好きだと言ってくれたのに。なんで何も言わずにいなくなってしまったのだろう。
気づけば、足は美術館へ向かっていた。もう一度。もう一度だけ、絵を見てみよう。
翼の心を知るために。私は重い扉を開け、美術館の中へと入っていった。

「こんにちは」

「いらっしゃい」

雪じいは優しく微笑んでくれた。私は頭を下げる。そして、もう一度。あの絵画たちの前へ向かった。
続きがある。そんな気がした。まだ、翼の本当の気持ちを知れていない。そう思うと、私はその場から動けなかった。

「もう、すべて見終わったのかな」

雪じいの声に、私はゆっくりとうなずく。

「はい」

でも。本当は、終わってなんかいない。