君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

そっと目を開ける。戻ってきた絵には、オーナメントとイルミネーションで彩られたクリスマスツリー。それから…。

「雪」

さっきまで描かれていなかった優しくて、白い雪が舞い降りている。光を受けて、透明な粒がふわりと淡い青色にも見えた。

「幸せだったな」

ポツリと落とした声が、美術館の静けさに溶けていく。まるでその言葉さえ、絵の中の光に吸い込まれていくみたいだった。楽しい日々を、ひとつずつ重ねていけると思ってた。ずっと一緒にいられる。あの頃の私は、そう思っていた。
もう少し、この続きを見ていたい。そう思って、絵画の続きを歩こうとした、そのとき。

「あれ……?」

足を止める。

「絵が……ない」

何もなかった。……ここで、終わり?どうして。私は急いで雪じいのところへ戻った。

「あの……雪じい。絵画は、これで終わり……ですか?」

そう尋ねると、雪じいが一瞬だけ固まった。けれど、すぐにいつもの表情に戻る。

「ああ。もう、それだけだ」

「……そう、ですか」

胸の奥が、すうっと冷たくなる。もっと知りたかった。翼が何を考えていたのか。私のことを、どう思っていたのか。まだ、何かあると思っていたのに。美術館を出ると、夕方の風が頬を撫でた。寂しい。そして、悲しい。

家に帰って、クリスマスにもらった雪の結晶のネックレスを見つめる。透明で、光を受けるたびに色を変える。翼がたくさん悩んで選んでくれたもの。
そっと指で触れると、冷たいはずなのに、あの日のぬくもりがふっとよみがえる。胸の奥がぎゅっと締め付けられた。まるで、ネックレスの中に翼の“光”がまだ残っているみたいでひどく泣きたくなった。