君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

「雪じい、こんにちは」

「おう、いらっしゃい」

美術館にやってきた私は、いつものように雪じいに声をかける。

「絵、見てもいいですか?」

「もう宿題は終わったのかい?」

「はい。おかげさまで」

そう答えて、笑う。体育祭の次に飾られていた絵へと向かった。そこに描かれていたのは――星空の下に佇む、クリスマスツリー。色とりどりのイルミネーションが、きらり、きらりと瞬いている。その光に吸い寄せられるように、私はそっと目を閉じた。

そして――目を開ける。私がコートを着て駅で待っている。

「望叶!」

聞き覚えのある声に顔を上げる。翼がこちらに向かって手を振っている。

「あ、つ、つ、翼……」

過去の私がもじもじとしながら名前を呼んでいる。

『はは、照れてる』

楽しそうに笑う翼。体育祭の日から、私たちはお互いのことを名前で呼び捨てにするようになったんだよね。――こんなふうに。

「望叶、行こう」

翼が自然な動作で手を差し出す。私は少しだけ照れたように笑って、その手を取った。指と指が重なり、そのまま二人は歩き出す。
私は、少し離れたところから二人の後を追った。なんだか、不思議な光景だった。私は半袖にショートパンツ。それなのに、目の前の二人は厚手のコートにマフラーまで巻いている。

「季節感、すごい」

思わず自分の服装を見下ろす。けれど、不思議なことに寒くはない。――ここは、絵の中だから。そう思うと、少しだけおかしくなった。