「次の競技は……借り物競走です。参加するみなさんは、テントにお集まりください」
放送が流れると、
「翼だろ? がんばれー!」
「おー」
クラスメイトに声をかけられ、翼は少しだけ手を上げると、げだるそうにテントへ向かっていく。そして、お題の書かれた紙を一枚取ると、ちらりと目を通した。その直後。
「恭弥ー、ペン貸して」
そう言って、長谷くんのところへ向かう。……何するんだろう?気になって、私もあとを追いかける。けれど、翼のほうが早い。ペンを借りると、何かを書いている。だけど、追いつく前に、翼は紙を折ってポケットにしまってしまった。――なんだったんだろう。そう思った瞬間。
『さてーと。お姫様、掻っ攫いに行こう』
聞こえてきた声に、思わず顔を上げる。その視線が、まっすぐ私に向いた。翼が迷いなく過去の私のところまで歩いてくる。そして――私の手を取った。
「蒼井、来て」
「え?う、うん……」
戸惑いながらも、引かれるまま翼についていく。すると、隣にいた森山君が翼を見つめていた。そして翼は、口パクしている。……なんて言ってるのだろう?
『だーめ。蒼井は俺の』
翼はニヤリと笑った。……え。そんなこと、言ってたの?知らなかった。森山君は呆れたように、軽く手を上げる。まるで、――はいはい、とでも言うみたいに。
放送が流れると、
「翼だろ? がんばれー!」
「おー」
クラスメイトに声をかけられ、翼は少しだけ手を上げると、げだるそうにテントへ向かっていく。そして、お題の書かれた紙を一枚取ると、ちらりと目を通した。その直後。
「恭弥ー、ペン貸して」
そう言って、長谷くんのところへ向かう。……何するんだろう?気になって、私もあとを追いかける。けれど、翼のほうが早い。ペンを借りると、何かを書いている。だけど、追いつく前に、翼は紙を折ってポケットにしまってしまった。――なんだったんだろう。そう思った瞬間。
『さてーと。お姫様、掻っ攫いに行こう』
聞こえてきた声に、思わず顔を上げる。その視線が、まっすぐ私に向いた。翼が迷いなく過去の私のところまで歩いてくる。そして――私の手を取った。
「蒼井、来て」
「え?う、うん……」
戸惑いながらも、引かれるまま翼についていく。すると、隣にいた森山君が翼を見つめていた。そして翼は、口パクしている。……なんて言ってるのだろう?
『だーめ。蒼井は俺の』
翼はニヤリと笑った。……え。そんなこと、言ってたの?知らなかった。森山君は呆れたように、軽く手を上げる。まるで、――はいはい、とでも言うみたいに。



