君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

「早速、ここと、ここと……ここ教えてください」

私は教科書を指差して、頭を下げる。

「はは、了解」

翼は笑いながら、わかりやすく教えてくれた。

「ありがとう!時宮くんは、どこがわからないの?」

そう聞くと、翼は目をぱちぱちとさせてから、自分の英語の宿題を取り出した。

「俺は…ここかな。よろしくお願いします、先生」

ノートを指でちょんちょんと叩きながらおどけて笑う。

「現在進行形だね。えっと」

私は翼に説明していく。翼は真剣な顔で聞いている。――あのときの私は、そう思っていた。でも。

『蒼井…真剣。可愛い。ってか、せっかくの夏休みなのに宿題してないで、プールとか誘えばよかったかな。でも、付き合ってすぐでプールって、なんかハードル高くない? ウォータースライダーとかやりたいけど、蒼井、そういうの苦手そう。どうなんだろう』

「えっと…わかった?」

私は翼の顔をちらりと見る。

「あ、えっと」

「わかりにくかったかな? もう一回説明するね」

「うん、よろしく」

翼が素直に頷く。

『本当可愛い。一生懸命だな。ってか、正直、英語も得意なんだよな……。というか、苦手な教科、特にないんだよな。 でも、蒼井と会う口実なら、夏休みの宿題が一番よかった気がする』

「…えっ」

思わず翼を見た。――うそ。待って。翼、英語得意だったの?私は翼のノートを見つめる。そういえば…。入学式では、新入生代表の挨拶をしていた。成績だってよかったはず。

「…私、なんで気づかなかったんだろう」

思わず小さく呟く。ほんと、私ってまぬけだ。