君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

並んで歩く二人の後を追う。やがて、私の家に着いた。

「入って。誰もいないから」

「お、お邪魔します」

翼が、少し緊張した様子で家の中へ入っていく。きょろきょろと辺りを見回す姿が、なんだか新鮮だった。

『えっ、誰もいないの!? やばい。緊張する……』

翼、緊張してたんだ。この頃の私は、そんなこと全然思わなかった。ただ、いつも通りの翼だと思っていた。

『あれって……仏壇?』

ふと、翼の視線がリビングのほうへ向く。開いていた扉の向こうに、仏壇が見えたらしい。翼は一瞬だけ足を止めた。けれど――。何も聞かずに、そのまま私のあとについてくる。その横顔を見つめながら、胸が少しだけ苦しくなった。……あの頃の私は、翼が何を考えているのかなんて、ほとんど知らなかった。

「座って」

「うん」

翼が私の向かいに座る。机の上に、英語と数学の教科書を並べた。