君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

私は、小さく手を伸ばした。

「はい」

その手を、翼がぎゅっと握る。その瞬間――。パァン!夜空に、大きな花火が上がった。

「え?」

思わず空を見上げる。

「あ」

翼も振り返った。

「地元のほうも、夏祭りだったんだな」

遠くの空に、いくつもの花火が咲いている。自然と繋いだ手に力がこもるのがわかった。二人並んで、夜空を見上げる。その後ろ姿は――。幸せそうだった。
ちゃんと、好きでいてくれたんだ。あの日の翼は。私のことを、ちゃんと好きでいてくれた。じゃあ――。

『そんなに好きじゃない』

別れ際に言われた、あの言葉。あれは、嘘だったと思っていいの?それとも。そもそも、これは私の願望なのかもしれない。翼の心の声を、私が自分に都合のいいように聞いているだけなのかもしれない。本当の翼の気持ちなんて、私にはわからない。だってもう翼はいない。

それでも――。今は、それでいい。たとえこれが、私の願いが見せている都合の良い夢だったとしても。大好きだった翼との思い出をもう一度、なぞっていきたい。一つずつ。あの日、知らなかった彼の気持ちを拾いながら。そのとき――。夜空いっぱいに咲いた花火が、まばゆい光となって私を包み込んだ。

ふと目を開ける。戻ってきた絵の中では、少し距離のあった二人がそっと手を繋ぎ、夜空には花火が静かに咲いていた。