君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

「えっと…わたしも」

小さな声で伝える。この言葉を口にするのは、すごく緊張した。でも――逃したくなかった。翼がさっきの言葉を、冗談みたいに誤魔化してしまうのも嫌だった。翼が、目を見開く。

『嘘だ。まじで!?』

そして――。

「俺も本気で好きだけど、付き合ってくれますか!?」

ものすごく大きな声が、バスの中に響き渡った。私たちの間に、気まずい沈黙が落ちる。すると――。

「ついたよ。きみたち」

前から、バスの運転手さんの苦笑いが聞こえてきた。

「……っ!」

顔が一気に熱くなる。

「す、すみません!」

慌てて運賃を払い、二人でバスを降りる。私も二人の後を慌てて追う。外へ出た途端、翼が私の手を取った。

「こっち!」

「え?」

そのまま手を引かれて、夜道を歩いていく。

「ちょっと寄り道していい!?」

「う、うん」

連れてこられたのは、家の近くの高台だった。翼が私の前に立つ。そして、すっと深呼吸した。

『仕切り直し』

翼が私を見る。

『ちゃんと、ちゃんと言う』

その表情は、さっきまでの慌てた姿とは違っていた。真剣な目。そして――。

「好きです」

まっすぐ私を見つめていた。

「蒼井望叶さんのこと、大好きです」

胸が、どくんと鳴った。

「俺と、付き合ってください!!」

ばっと、翼が手を差し出した。

『まじで、頼む。同じ好きであってくれ』

差し出された手を見つめる。あの日。私は、この手を取った。――そして、翼と恋人になった。今まで知らなかった翼の気持ちを、ひとつずつ知っていく。そのたびに私は思う。こんなに大切にされていたことに、どうして気づけなかったんだろう。