君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

「よし、肩車するぞ!」

翼がそう言うと、泣いている男の子の前にしゃがみ込んだ。

「大きい声で、お父さんとお母さん探そうな!」

「うん……」

翼は男の子をひょいっと持ち上げ、自分の肩に乗せる。

「名前は?」

「……かずま」

男の子が、小さな声で答えた。

次の瞬間。

「かずまくーんのお父さん、お母さんいませんかー?」

翼が、びっくりするほど大きな声を出した。周りにいた人たちが、一斉にこちらを振り返る。

「……」

けれど――。どれだけ待っても、かずまくんのお母さんらしき人は現れない。

「いないね」

翼が辺りを見回す。

「どの辺ではぐれた?」

「……あっちのほう」

かずまくんが指を差す。その方向は――。私たちが花火を見るために向かっていた場所とは、反対だった。

『花火見ようとしてたところから、どんどん遠ざかるな……』

翼が一瞬だけ空を見上げる。

『……まあ、仕方ないか。ほっとけないし』

そして、すぐに笑った。

「よし! じゃあ、あっち行ってみよう!」

翼が歩き出す。

「うん」

私もその隣を歩く。花火は間に合わない。それでも――。思わず、笑みがこぼれた。やっぱり、こういうところが好きだったな。困っている人を見つけたら、放っておけない。自分が少しくらい損をしても、誰かのために動ける。そんな翼が、私は好きだった。……ずっと。