君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

たくさんの屋台を見て、食べて、笑って。二人で過ごした夏祭りは――特別だった。今でも、そう思う。今年も二人で来られると思っていたのに。

「花火、もうすぐだな。行こう!」

「うん」

繋いだ手をそのままに、二人で花火が見える場所へ向かう。すると――。

「うわぁぁぁん!」

「うわっ。びっくりした」

突然、聞こえてきた泣き声。翼が足を止める。その先にいたのは、小さな男の子だった。翼はすぐにしゃがみ込む。

「どうした?」

『迷子かな。心細いだろうな』

「ママとはぐれたぁ……」

男の子は、涙をぽろぽろこぼしながら答える。

「そっか……」

私は周りを見渡した。

「どうしよう。すごい人混みだもんね」

たくさんの人が行き交っていて、男の子のお母さんらしき人は見当たらない。すると翼が、男の子の目線に合わせたまま言った。

「一緒に探すか」

『花火、間に合うかな』

翼が一瞬だけ空を見上げる。

『……でも、ほっとけないし』

「そうだね。探そう」

私も頷いている。夏祭りで、子どもとはぐれたら。きっと、ご両親もすごく心配する。

「大丈夫。俺たちと一緒に、お母さん探そう」

翼が男の子に笑いかける。その笑顔は、私に向けるものと同じくらい優しかった。……やっぱり、翼は優しい。私はその横顔を見つめながら、改めてそう思った。