君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

梓と二人で自販機へ向かい、スポーツドリンクを手に取る。

「……良かったの?」

梓が、こちらを見る。

「え? 何が?」

「時宮と、もう少しいたかったんじゃないの?」

さすが梓。するどい。

「うーん……そういうわけにはいかないよ」

私はペットボトルのふたを開けながら答える。

「だってさ。誰にでも優しくて、かっこよくて、人気者なんだよ? 私が独り占めするのは、おかしいよ」

「はあ?」

梓が呆れたように眉を上げる。

「無欲だねー」

「そうかな?」

「そうだよ。あの感じだと、わりと時宮のほうが望叶と一緒にいたかったと思うけど?」

「……え?」

梓のその言葉の意味に、当時の私は気づいていなかった。――
……って。ちょっと待って。私、翼のほう追いかけるべきだったよね!?

「まだ、間に合うかな……!」

思わず声に出していた。私は過去の私に背を向けて翼たちが歩いていった方向へ駆け出す。