君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

「さっさと働くか」

「そうだね」

私と梓はブラシを手に、プールサイドをゴシゴシと擦り始める。翼たちは――まだ盛り上がっている。……と思ったら。翼が、しれっと輪の中から抜け出してきた。そして何事もなかったように、ブラシを手に取る。

「……意外と真面目なんだ」

思わず呟く。せっかくだし、そばに寄ってみよう。翼の近くまで行く。すると――

『蒼井……金田と話すときは、あんな感じなんだよな。いいなぁ。なんか、心を許してる感じがする。俺と話すときは、もっと控えめな気がするんだよな。うーん……思いっきり笑わせてみたいな』

……そうかな?私、翼といるときも楽しかったけど。

「でさー、この前――」
「やば! ウケる!」

少し離れたところから、キラキラグループの笑い声が聞こえる。その声に、翼がちらりとそちらを見る。

『っていうか、あいつら真面目にやれよ。蒼井が一生懸命擦ってるだろ? 邪魔すんなよ。あ、もう! 田中、お前ふざけんな! ホースに触るな!』

次の瞬間。――シュッ!ホースから勢いよく水が飛び出した。

「え?」

水の軌道が、弧を描く。まっすぐ私に向かって――

「危ない!」

翼が飛び込んできた。バシャッ!水は私にはかからず、翼をびしょ濡れにした。

「……お前らな」

私を庇うように立った翼が、低い声で言った。さっきまで笑っていた空気が、一瞬で静まり返る。私はただ、目の前に立つ翼を見つめていた。