君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

『ずっと降っててほしい気持ちもあったけど、このままこうしているわけにもいかないしな』

翼の心の声が聞こえる。そして、こちらを振り返ると笑った。

「帰ろう。一緒に」

「うん」

私も翼の隣に並ぶ。二人の背中を見つめながら、私はもう一度、窓の外へ目を向けた。雨が、灰青色の空へ溶けるようにほどけていく。世界の音まで、少しだけ静かになった気がした。薄い光が、教室の中へ差し込んでくる。その光に照らされて、濡れた校庭がきらきらと輝いていた。

「あ……」

空を見上げる。虹だ。そう思った瞬間――。まばゆい光が、視界いっぱいに広がった。思わず目を閉じる。そして――。目を開けると。私は、元の場所に戻っていた。

「……」

目の前にあるのは、さっきまで見ていた絵画。暗い雨空の下、土砂降りの雨が降っていた教室が描かれていたはずなのに。
今は――。雨がやんでいた。灰色の雲の隙間から、淡い光が差し込んでいる。そして、その空には。大きな虹が、かかっていた。

「……虹」

思わず、つぶやく。絵の中の景色が、変わっている。まるで――。あの日の雨が、終わったみたいに。