君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

「じゃあ、雨は好き? 嫌い?」

「なるほどね。俺は雨、好きだよ。雨の音とか、雨の匂いとか」

そう言って、翼が笑う。

「意外……。時宮くんって、明るくて元気だから、雨は嫌いなのかと思った。だって今だって、雨に邪魔されて帰れないし」

「そう? でも、雨にもいろんな種類があるんだよ」

「種類?」

「うん。小雨(こさめ)とか、霧雨(きりさめ)とか、夕立(ゆうだち)とか。ほかにも、霖雨(りんう)、氷雨(ひさめ)、時雨(しぐれ)……」

「へぇー!」

思わず身を乗り出した私。翼、意外と物知りなんだよね。

「小雨(こさめ)と霧雨(きりさめ)はわかるけど、霖雨(りんう)と氷雨(ひさめ)と時雨(しぐれ)って?」

「霖雨(りんう)は、何日も降り続く雨。梅雨の雨とかだね。氷雨(ひさめ)は、冷たい雨。時雨(しぐれ)は、秋から冬にかけて短い時間だけ降る雨のこと」

翼は、楽しそうに説明してくれる。いつも明るくて、ちょっと子どもっぽいところもあるのに。こういう一面もあるんだよね。

「知らなかった……」

「蒼井は? 雨、好き?」

翼が、私を見る。

「うん。好き」

少しだけ窓の外に目を向ける。ザーッという雨の音が、私たちを包んでいた。

「なんだか、心が洗われていくような気がするの。私の代わりに泣いてくれてるみたいで……。雨がやんだあとは、ちょっとスッキリするんだ」

「……そっか」

翼が、ふっと笑った。