君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

「やっほー。蒼井、隣よろしくね」

席に着いた翼が、明るく笑う。

「よろしく……時宮くん」

『なんか、前より表情柔らかくなったかな?』

翼が、ちらっと私を見る。

『これから仲良くなれるといいけど。でも、これでたくさん話せるし! よし!』

そんなことを考えていたんだ。私は少しだけ、頬が緩む。そして――。席替えが終わり、放課後。

「じゃあね、蒼井」

「うん。またね」

私は翼に、ひらりと手を振った。すると――。

「おい、翼! 帰ろーぜ!」

「ねぇ、翼くん!」

あっという間に、翼の周りに人が集まる。

「……ほんと、人気者だな」

私は小さく呟いた。そうだ。私は今日、図書当番だった。みんなが帰っていく中、私は図書館へ向かっている。すると、後ろから声をかけられた。

「蒼井さん! ごめん! 俺、今日用事あるんだけど……一人でも平気?」

同じクラスの坊主頭の田中くんだった。

「うん。大丈夫だよ」

図書当番といっても、そんなにやることはない。本を戻したり、カウンターの整理をしたりするくらいだ。それに――。仲良くない人と二人きりで過ごすほうが、私にはちょっとしんどい。だから。むしろ、助かったと思ってた。

「そっか! じゃあ、ごめん。よろしく!」

田中くんはそう言って、走っていった。過去の私は一人、図書館へ向かう私もそっと後を追う。