君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

「雨、やばいねー」

「ねー」

突然、人が入ってきた。

「……!」

そっか。移動教室だったんだ。私は慌てて教室の端へ身を寄せる。別に、みんなから私が見えているわけじゃない。それなのに、なんだか緊張する。

「……変なの」

誰にも見えないはずなのに。教室の中を見回していると、ふと気づいた。……そういえば。他の人の心の声は、聞こえない。聞こえるのは――翼の声だけ。

「次、席替えだよなー」

翼が友達と話している。

「ってかさ、六月にもう席替えって早くね?」

「それな!」

「俺、席替え楽しみだけどなー」

翼が楽しそうに笑う。しばらくして、宮内先生が教壇に立った。

「今回、席替えしたら当分席替えなしだからな。目が悪いやつは前から二番目までのくじを作るから、希望者は先に引いてくれ。そのあと、残りは全部混ぜるからな」

「はーい」

生徒たちが順番にくじを引いていく。引いた番号を確認して、黒板に書かれた座席表を見ながら、それぞれの席へ移動していく。そして――。

「……あ」

私は、自分の番号を見つけた。二十三番。窓側の一番後ろ。

「すごい。いい席……」

そして、その隣は――。

『蒼井は、二十三番か』

翼の心の声が聞こえて黒板を見つめる。

『その隣……十二番』

そして、自分のくじを見る。

『……俺、六番って全然違う』

え?嘘だ…だってこの後翼は私の隣の席になったはず。偶然ではなかったの?