君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

シュークリームを食べ終えお手拭きで口を拭いて私は立ち上がった。

「あの……見てもいいですか!?」

「ああ、もちろん。ごゆっくり、お嬢さん」

「ありがとうございます!」

私はぺこりと頭を下げると、待ちきれずに少し早足で歩き出した。カツン、カツン。靴音が静かな美術館に響く。この前見た絵。その次の絵。そして――。

「……ここだ」

足が止まる。

「続きは……」

目の前にあったのは、一枚の絵。そこに描かれていたのは、教室だった。窓の外は、土砂降りの雨。空はどんよりと暗く、今にも何かが起こりそうな、不思議な雰囲気が漂っている。じっと絵を見つめていると――。ぽつ。雨粒がひとつ、窓を伝った。

「……え?」

次の瞬間。ザーザーッ。絵の中で、雨が一気に降り出した。冷たい水が、頬を撫でる。

「つめた……」

思わず目を閉じた。そして――。

「ここは……」

そっと目を開ける。見覚えある。

「教室だ……」

中学一年生のときのクラス。誰もいない。静まり返った教室の中を見回す。