君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

「私、そろそろ行くね。買い出しの途中だったんだ」

そう言って、何も知らない過去の私はブランコから立ち上がった。

「あ、うん。引き留めてごめん」

『いやいや、今! 今聞かないと! マジで!』

翼の心の声が聞こえる。でも、翼はなかなか言い出せない。

「じゃあ、ありがとうね。時宮くん」

私は翼に小さく手を振り、歩き出した。その瞬間――。ざわっ。頭上の木々が大きく揺れた。

「待って!」

翼の声が、公園に響く。

「蒼井!連絡先教えて!!」

『やば、めっちゃ大きい声出たー……はずっ』

翼の顔が真っ赤になる。私はキョトンとした顔している。

「あ、うん。いいよ」

ポケットからスマホを取り出す。

「私も、時宮くんが休んだときは届けにいくね。今日のお詫びに」

「あ、うん」

翼も慌ててスマホを取り出した。

『そうじゃないんだけど……まあ、よし!』

二人で連絡先を交換する。

「じゃあ、また学校で! 蒼井!」

「また」

私は小さく頭を下げて、その場をあとにする。少し離れたところから、過去の自分の背中を見つめる。

「私、冷めてるな」

思わずため息が出た。もうちょっとこう……。

「可愛くしてよ…」

せっかく翼があんなに頑張ってくれてたのに。もっと嬉しそうにするとか。もう少し何か言うとか。……もったいない。私はそんなことを考えながら、過去の自分を見つめていた。