「俺さ、五月の新緑って好きなんだよな」
翼がブランコを漕ぎながら、頭上で揺れる葉っぱを見上げる。
「五月の初めしか見られないんだよ。この淡い黄緑色が、だんだん濃い緑になっていくの。俺、あの変わっていく感じが好き」
「私も……好きだな」
そう言って、私はポケットから、翼にもらったステンドグラス風のしおりを取り出した。
「これ、毎日使ってるんだ」
「お、マジ? 嬉しい」
翼が身を乗り出す。
「綺麗な色……これ何色だろ?」
しおりを通して葉っぱを覗いてみる。淡くて柔らかな黄緑色。降り注ぐ陽の光を受けて、少し黄色っぽく見える。
「若葉色かな」
翼が嬉しそうに笑う。
「光に当たると、黄色っぽくなるんだよな」
「若葉色。綺麗……」
しおりの中で揺れる新緑を眺めていると、なんだか胸の奥まで明るくなるような気がした。
「もう少ししたらさ、若草色になって。あ、今より少し濃くて、草原みたいな明るい緑ね。それから萌黄色。黄色っぽさが少し残った、落ち着いた緑。それから夏になると、もっと深い緑になる」
「同じ緑なのに、いろんな色があるんだね」
「うん。季節が進むたびに、少しずつ違って見えるんだ」
『……って、俺、葉っぱの色の話してる場合じゃなくない?』
翼の表情が、急に真剣になる。
『連絡先聞くために引き留めたのに……』
「……」
私は思わず、翼の顔を見つめた。
『どうやって聞こう。普通に聞けばいいだけなのに……』
……翼。もしかして。さっきからずっと――。私の連絡先を聞こうとしてたの?
翼がブランコを漕ぎながら、頭上で揺れる葉っぱを見上げる。
「五月の初めしか見られないんだよ。この淡い黄緑色が、だんだん濃い緑になっていくの。俺、あの変わっていく感じが好き」
「私も……好きだな」
そう言って、私はポケットから、翼にもらったステンドグラス風のしおりを取り出した。
「これ、毎日使ってるんだ」
「お、マジ? 嬉しい」
翼が身を乗り出す。
「綺麗な色……これ何色だろ?」
しおりを通して葉っぱを覗いてみる。淡くて柔らかな黄緑色。降り注ぐ陽の光を受けて、少し黄色っぽく見える。
「若葉色かな」
翼が嬉しそうに笑う。
「光に当たると、黄色っぽくなるんだよな」
「若葉色。綺麗……」
しおりの中で揺れる新緑を眺めていると、なんだか胸の奥まで明るくなるような気がした。
「もう少ししたらさ、若草色になって。あ、今より少し濃くて、草原みたいな明るい緑ね。それから萌黄色。黄色っぽさが少し残った、落ち着いた緑。それから夏になると、もっと深い緑になる」
「同じ緑なのに、いろんな色があるんだね」
「うん。季節が進むたびに、少しずつ違って見えるんだ」
『……って、俺、葉っぱの色の話してる場合じゃなくない?』
翼の表情が、急に真剣になる。
『連絡先聞くために引き留めたのに……』
「……」
私は思わず、翼の顔を見つめた。
『どうやって聞こう。普通に聞けばいいだけなのに……』
……翼。もしかして。さっきからずっと――。私の連絡先を聞こうとしてたの?



