君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

「この時期の葉っぱの色、きれいだよね」

「そうなんだよ!行こう」

そう言って、二人が並んで歩き出す。私も少し離れたところからひっそりと追いかけた。やがて二人がたどり着いたのは、近所の公園。遊具も少なくて、普段からほとんど人が来ない場所だった。二人は並んでブランコに腰を下ろす。

「ブランコ、久しぶり」

翼がそう言うと、楽しそうに足を蹴って漕ぎ始めた。

「ふふっ。私も」

私も隣のブランコに乗ってゆっくりと漕ぎ始める。……私。もっと楽しそうにできないのかな。今の私は、思わず過去の自分の頬に触れようと手を伸ばす。けれど――。すっ。指先は、頬をすり抜けた。

「…そっか」

触れられないんだった。私はブランコに揺られる過去の自分を見つめる。お母さんが亡くなって、三年。あの頃の私は、まだ気持ちが追いついていなかった。笑おうとしても、心のどこかにぽっかり穴が空いているような気がして。何をしても、心から楽しめなかった。
でも――。今は、少しだけ前を向けるようになっている。それはきっと。翼と出会ったから。翼が笑わせてくれて。翼が隣にいてくれたから。

「……全部翼のおかげだったんだよね」

私はブランコに揺られる二人を見つめた。そのとき――。

『やっぱり、笑ったほうが可愛いな』

「……え?」

翼の声が聞こえた。もちろん、私に届くはずのない――心の声だった。