君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

「ありがとう…じゃあこれで」

「うん」

私はプリントを受け取りそのまま帰ろうとした。

『いやいや俺、何やってるの!』

翼が自分にツッコんでいる。

『連絡先! 連絡先聞く! 絶対聞く!!』

「……」

こんなに勇気を出して、私に会いに来てくれてたんだ。知らなかった。すると、翼が突然振り返った。

「蒼井!」

「なに?」

「あの……」

一瞬、翼が言葉に詰まる。

『……よし』

そして――。

「ちょっと、公園寄ってかない?」

「え?」

『ちがう……いや、ちがくないけど、俺……』

翼の顔が、ほんの少し赤くなる。

「今の時期、木がきれいなんだよ! 葉っぱの色とか」

「……」

『ち、ちがう。そうじゃない。いや、綺麗なんだけど!』

「ふふっ」

思わず笑ってしまう。翼、すごいテンパってる。こんなに焦ったりする人だったんだ。いつも明るくて、何でもそつなくこなしているイメージだった。でも――。今の翼は、私にどう声をかけようか必死になっている。

『……連絡先、聞きたいだけなのに。なんで公園なんだよ、俺……』

「公園、行く?」

昔の私がそう聞くと翼がぱっと顔を上げた。

「うん!」

その笑顔がすごく嬉しそうだった。