君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

翼のあとについていく。どうして宿題をポストに入れて、置いていかなかったんだろう。そんなことを考えながら歩いていると――。気づけば、翼の家に着いていた。

「……ここ、入るの二度目か」

前にも一度、来たことがある。もちろん、今の私は翼には見えていないけれど。

「お邪魔しまーす」

そう呟いて、翼のあとについていく。そして、たどり着いた翼の部屋。

「……シンプルだな」

机とベッド、本棚。必要なものだけが置かれた、すっきりした部屋だった。翼はカバンを机の横に置くと、何かを思い出したように呟いた。

「そうだ。蒼井、数学苦手だよなー」

『躓きそうなところ、アドバイス書いておこう』

翼は机に向かいノートを開く。けれど、すぐに手が止まった。

『……って、こんなことしたらキモいか? 余計な迷惑か?』

「え?」

思わず翼を見る。

『いや、でも……』

翼は少し考えてから、またシャーペンを手に取った。

『いつも数学の授業のとき、眉間にしわ寄ってたし』

「……」

『金田には「ここどうやるの?」って聞いてたし』

「……この時から数学苦手なのバレてる」

思わず自分の眉間に触れる。……というか。

「眉間にしわ寄ってるの、私?」

ちょっと嫌だな。

『席近かったら、教えられたのにな』

「……」

胸が、少しだけ熱くなる。翼は――私のこと、よく見てたんだ。私はそんなこと、全然知らなかった。そして翼が机の引き出しを開ける。私はその横から、すっと机の上を見下ろした。