君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

目を開けた瞬間――。

「…ここは?」

目の前に広がっていたのは、見覚えのある教室だった。

「明日からゴールデンウィークだからな。宿題、ちゃんとやってくるように」

「はーい」

学校だ。私は教室を見回す。黒板の日付に目を向けて、息をのんだ。五月二日。この日は――。
お母さんの命日だ。胸の奥が、きゅっと締めつけられる。すると、教卓に立っていた先生が困ったように呟いた。

「困ったな。蒼井は今日休みか。宿題、渡し忘れたな」

宮内先生だ。その声を聞いた瞬間、教室の後ろから聞き慣れた声がした。

「みやちん。蒼井って、休みなの?」

「……翼だ」

振り返ると、そこには翼がいた。

『風邪とかかな? 心配だな』

翼は少し考えるように頬杖をつく。

『ってか俺、蒼井の連絡先も知らないんだよなー。今度聞こう。聞けるかな……いや、聞く。今度会ったら絶対聞こう』

「……」

思わず、胸が熱くなる。そんなこと考えてたんだ。私のことも……心配してくれてたんだ。

「みやちんって呼ぶな。ああ、今日は家の用事でな」

『家の用事? まあ、いろいろあるか……それよりも』

翼がぱっと顔を上げた。

「先生。俺が蒼井に宿題届けてもいい?」

「ん? ああ、そうしてくれると助かるな」

「じゃあ俺、届けてくる!」

そう言って翼は嬉しそうに笑った。

「……なんか、気恥ずかしいな」

私は小さく呟いた。だって、今まで知らなかった。翼がこんなふうに私のことを気にかけてくれていたなんて。