君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

次の日――。また来てしまった。さすがに、二日連続で来るのは迷惑だったかな……。でも、家にいても昨日の不思議な体験のことが頭から離れなくて、何も手につかない。あの絵は、なんだったのだろう。そして――あのときの翼は。もう一度、確かめたい。

「えい!」

私は勢いよく美術館の扉を開けた。からん。

「あのー…こ、こんにちはー」

少しだけ緊張しながら声をかけると、

「いらっしゃい。昨日の子だね」

昨日のおじいさんが、優しく微笑んでくれた。よかった……。どうやら、迷惑ではなかったらしい。

「あ……」

そこで、ふと思い出す。私、昨日ちゃんと自己紹介してなかった。

「蒼井望叶と申します。あの……また、絵を見てもいいですか?」

「ふふ、もちろんだとも。私は雪司 (ゆきじ)といいます」

「雪司さん……」

名前を口にすると、おじいさんは楽しそうに笑った。

「はは。そんなかしこまらなくていいよ。わしの孫は、昔から『雪じい』と呼んでいるよ」

「雪じい」

なんか可愛い。

「…って、失礼ですよね!!」

自分で言っておいて、慌てて頭を下げる。

「す、すみません!!」

お孫さんでもないのに、いきなり『雪じい』なんて。だめでしょ、私!!