君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

「ありがとう。嬉しい」

そう言うと、翼が嬉しそうに笑った。

「よし、じゃあ一緒にそれ覗きながら学校行こうぜ!」

「え?」

「さすがに入学式、遅刻するのは嫌だろ?」

そう言って、翼は笑う。

「……うん」

私は頷いた。二人で並んで歩き出す。

『よかった。笑ってくれた』

翼の心の声が聞こえる。

『笑うと、めっちゃ可愛いじゃん! 美少女と桜、よく似合うな』

思わず、頬が熱くなる。

『同じクラスになれたらいいな』

翼の言葉が胸の奥に落ちていく。そんなふうに思ってくれてたんだ。嬉しいな。私は、ずっと春が嫌いだった。せっかく仲良くなった友達とも離れてしまう。新しいクラス。新しい先生。新しい環境。私は、そういうものに馴染むのが得意じゃない。だから春が来るたび、少しだけ憂鬱だった。
でも――。翼と出会えた、この春だけは違ったんだ。
あの日。翼と出会ったことで、私は初めて春を好きになったんだ。