君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

「これ、あげる」

そう言って、翼が手渡してきたもの。透明な板に、ステンドグラスのようなカラフルな模様が入っている。中央には、小さな透明なハート。その周りを、色とりどりの色が囲んでいた。懐かしい。これ。別れたあとも、捨てられなかった。ずっと大切に持っていたもの。まさか――。これをもらった日のことを、こんな形で思い出すなんて。

「これは?」

私が首を傾げる。

「こうやって、桜にかざしてみて」

翼が透明な板を持ち上げる。

「ほら。ハートのところ」

「……?」

私も隣から覗き込む。二人の顔が、自然と近づいた。透明な板越しに見える桜が、陽の光を受けて色づいている。中央のハートだけ、桜の色が切り取られたみたいに浮かび上がっていた。

「……きれい」

思わず呟く。

「サクライロ……」

『あ、よかった』

翼の心の声が聞こえる。

『やっとちゃんと笑った』

「……」

私は、胸の奥が少しだけ熱くなるのを感じた。翼は、そんな私を見ながら笑った。

「あげる」

「え?」

「しおりとかにして使って。あと、いろんなところ覗いてみて」

そう言って、翼は笑った。その笑顔が――。あまりにも優しくて。私は、昔の自分と一緒にその笑顔を見つめていた。