君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

『あおい……のぞか? もちか? どっちだろう……』

「あおい、もかです」

『あ、なるほど』

翼が、ぱっと笑った。

『いい名前だな。きっと素敵な両親が考えてくれたんだろうな』

「望みを叶えるで、モカっていうんだ」

昔の私がつぶやくような声でそういうと翼が、まっすぐな笑顔を向けてくる。

「めっちゃ粋な名前だね」

「……あ、ありがとうございます」

私は小さく頭を下げた。……なんで、こんなに暗いんだろう。今の私が、過去の自分を客観的に見ているからこそわかる。あの頃の私は、笑うことすらうまくできていない。こんな私のことを――。どうして、翼は好きになってくれたんだろう。いや。そもそも、好きじゃなかったって言ってた。だったら。今まで一緒にいた時間は、いったい何だったの?

「隣、座っていい?」

翼が自然な動作で私の隣に腰を下ろした。

『さすがに入学式に遅刻は、悪目立ちするよなー』

翼が私の顔を見る。

『調子、よくなってきたかな?』

「大丈夫?」

「……あ、もう平気。だから先に行って」

『そう言われてもなぁ』

翼が私を見つめる。

『顔色は少し落ち着いてきたけど、まだ顔が強張ってる……』

少し考えて。

『どうしたもんか…あ!そうだ』

翼がガサゴソと突然カバンを探り始めた。

「…?」

『確か……』

さらにカバンの中を探す。

『おっ、あったあった!』

翼が嬉しそうに何かを取り出した。そして、それを私に差し出す。