君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

『少しは落ち着いたかな……』

翼が、そっと私の様子をうかがう。

『あ、この子の名前知らないな。聞いてもいいかな』

翼は少し考えてから――。

『とりあえず、自己紹介もう一回しとくか』

翼が辺りを見回す。

『あ。ちょうどよさそうな枝、あった!』

翼は桜の木の下に落ちていた枝を一本拾い上げた。そして、私に見えるようにくるりと反対向きにして、枝の先で地面に文字を書き始める。

『時宮、翼……』

一文字ずつ、丁寧に。

『よし。我ながらうまい』

……そこ、自分で褒めるんだ。

「俺、ときみや つばさね。こう書くの」

翼が、地面に書いた文字を指差す。

「名前、聞いてもいい?」

首を傾げる翼。

「……あ、うん」

私は小さくうなずいた。

「はい。枝どうぞ」

翼が枝を差し出してくる。

「ありがとう」

私は受け取った。そして、翼が書いた文字の隣に、自分の名前を書いていく。蒼井。望叶。書き終えると、翼がその文字をじっと見つめた。