君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

目を開ける。そこは、真っ黒なキャンバスの前だった。私は、その場に座り込む。涙が止まらない。一緒にいたかった。もっと、未来を歩きたかった。この先、やりたいことがたくさんあった。翼としかできないことがたくさんあったのに。

「…翼」

名前を呼んでも返事はない。ただ、目の前の真っ黒なキャンバスだけが、静かにそこにある。そのとき――。キャンバスの上に、一本の線が現れた。黒い線が、淡い光に溶けるように、ゆっくりと伸びていく。

「…え?」

思わず顔を上げる。黒かったキャンバスが、少しずつ光に包まれていく。黒が消えていく。そして――。いつの間にか、キャンバスは真っ白になっていた。その白いキャンバスに、淡いピンク色の文字が浮かび上がる。

『望叶の未来は、望叶の好きな色で描いて』

一文字ずつゆっくりと。

『俺は、その未来がずっと続くことを願ってる』

涙がまた頬を伝う。けれど、今度は悲しいだけじゃなかった。文字が、少しずつ薄くなっていく。そして――。桜の花が真っ白なキャンバスいっぱいに、咲いていく。その中央には――。手を繋いで笑っている、私と翼。私は小さく笑った。

「最後まで、ロマンチックだな」

グッと涙を拭う。そして、ゆっくりと立ち上がった。

「…ありがとう」

そう呟いて、私は歩き出した。