君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

最近は、もう絵も描けない。身体も、思うように動かない。気持ち悪くて、視界もぼやける。――もうすぐ、死ぬ。そう思うと、不思議なくらい静かな気持ちになった。
ふと、窓の外を見る。桜が咲いていた。淡い花びらが、春の風に揺れている。……最後に、もう一度だけ。
望叶と出会えた、あの場所へ行きたい。
あの日のことを、もう一度思い出したい。
自販機のずんだミルクティー飲んでおきたい。
俺は腕につながれた点滴を引っこ抜いて、カーディガンを羽織った。
靴を履くのにも、ひどく時間がかかる。
それでも、なんとか立ち上がった。ふらつく身体を壁に預けながら、一歩ずつ進む。もう一度だけ。
望叶に出会えた、あの場所へ。