君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

翼side

◯年四月。

「あー…もう死ぬのか」

ベッドの上で、俺は自分の身体を見下ろした。検査着と腕には点滴。

俺は昔から、だいたいのことはできた。勉強も、運動も、人付き合いも。手先も器用だったし、困ったことがあっても、それなりにうまくやってこられた。だけど。それだけだった。何かが足りない。そんなふうに感じることが、ずっとあった。

別に、不幸だったわけじゃない。毎日を普通に過ごして、笑うことだってあった。それでも、どこか満たされない。そんな俺が、昔から好きだったものがある。自然を見ること。同じ青空でも、明るい青、少し暗い青。緑がかった青、紫がかった青。
よく見れば、世界にはたくさんの色がある。それを見つけるのが好きだった。
そして、絵を描くことも。……まあ、絵を描くようになったのは、雪じいが嬉しそうにしてくれたからなんだけど。俺が描いた絵を見て、雪じいが笑う。それが、なんとなく嬉しかった。

だから、絵を描くときは、いつも雪じいのところだった。あそこは、俺にとって唯一、何も考えずにいられる場所でもあった。静かで、落ち着いていて。時間がゆっくり流れているような、そんな場所。