君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

『いたいた。これ渡すのに立ったままだと、威圧感あるよな? ただでさえビビられてたし……しゃがもう』

翼が、私の目の前でしゃがみ込む。

『よく言うよな。子どもとか小動物って、上から見られるとびっくりするから目線合わせないと』

「……」

待って…私、子ども扱いされてたの?それとも……小動物?

「はい、どうぞ」

翼はしゃがんだまま、ペットボトルのキャップまで開けて差し出してくれた。

「す、すみません。あのお金……」

私はカバンに手を入れようとする。すると――。

『あー、律儀だな』

翼が私を見る。

『でも、調子悪いときくらい他の人に気を使わなくていいんだから』

「いいよ! 気にしないで」

翼が、ふっと笑った。

「しんどいなーってときは、なんにも考えなくていいんだよ。甘えとけばいいって」

そう言って、ゆるりと手を振る。

「……」

――そうだ。この笑顔に、私はほっとしたんだ。当時は、いっぱいいっぱいでただ、ひとりで抱えていたものが、ほんの少しだけ軽くなった気がした。

「……ありがとう、ございます」

私は控えめに笑った。すると――。

『あ、ちょっと笑った』

翼の声が、少しだけ弾む。

『可愛い……』

「……え?」

思わず顔を上げる。

『ちびうさみたい』

え!?可愛いって思ったの!?しかも、ちびうさって、マスコットの?私は、思わず自分の頬に触れた。なんだか――。さっきまで泣きそうだったのに。胸の奥が、少しだけくすぐったかった。