『父さんへ』
毎日、夜遅くまで仕事してくれてありがとう。物知りでよく図鑑を読んでくれたよね。あれ楽しかった。母さんのこと、よろしく。
『母さんへ』
今までありがとう。母さんが作る唐揚げ、世界で一番好きだった。
『光へ』
喧嘩もたくさんしたけど、弟が光でよかったよ。俺の分まで、母さんと父さんと仲良くして。
『雪じいへ』
雪じいの描く絵が好きだ。絵のこと、たくさん教えてくれてありがとう。長生きして。
翼の手が止まる。
『……だめだ。こんなありきたりなことしか書けない』
少しだけ考えてから、また鉛筆を動かす。
『とりあえず、次……一番大好きな人』
そして――。
『望叶へ』
初めて会ったとき、望叶が青白い顔をしていたのをよく覚えてる。
控えめに笑う望叶を見て、もっと思いっきり笑わせてみたいって思ったんだ。
たぶん俺、あのときにはもう、恋に落ちてたんだと思う。
それから、望叶と過ごした時間は本当に楽しかった。
プール掃除も、夏祭りも、体育祭も、クリスマスも……。
全部、宝物みたいな時間だった。
俺、死ぬんだって。
本当は……別れたくなかった。
ずっと、望叶のそばにいたかった。
一緒に大人になりたかった。
ごめんな。だから…
俺の分まで、幸せになって。
素敵な人を見つけてさ。
それが、俺の願いだから。
翼は震える手で時間をかけながら必死に言葉を紡いでいた。それからゆっくりと鉛筆を置いた。私は、何も言えなかった。ただ、涙が次から次へとあふれてきた。
毎日、夜遅くまで仕事してくれてありがとう。物知りでよく図鑑を読んでくれたよね。あれ楽しかった。母さんのこと、よろしく。
『母さんへ』
今までありがとう。母さんが作る唐揚げ、世界で一番好きだった。
『光へ』
喧嘩もたくさんしたけど、弟が光でよかったよ。俺の分まで、母さんと父さんと仲良くして。
『雪じいへ』
雪じいの描く絵が好きだ。絵のこと、たくさん教えてくれてありがとう。長生きして。
翼の手が止まる。
『……だめだ。こんなありきたりなことしか書けない』
少しだけ考えてから、また鉛筆を動かす。
『とりあえず、次……一番大好きな人』
そして――。
『望叶へ』
初めて会ったとき、望叶が青白い顔をしていたのをよく覚えてる。
控えめに笑う望叶を見て、もっと思いっきり笑わせてみたいって思ったんだ。
たぶん俺、あのときにはもう、恋に落ちてたんだと思う。
それから、望叶と過ごした時間は本当に楽しかった。
プール掃除も、夏祭りも、体育祭も、クリスマスも……。
全部、宝物みたいな時間だった。
俺、死ぬんだって。
本当は……別れたくなかった。
ずっと、望叶のそばにいたかった。
一緒に大人になりたかった。
ごめんな。だから…
俺の分まで、幸せになって。
素敵な人を見つけてさ。
それが、俺の願いだから。
翼は震える手で時間をかけながら必死に言葉を紡いでいた。それからゆっくりと鉛筆を置いた。私は、何も言えなかった。ただ、涙が次から次へとあふれてきた。



