君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

私には何も言わずに、別れを告げて。親友にさえ、本当のことを話さずに。ひとりで全部、抱えていたんだ。

「なんで…」

胸の奥が、ぎゅっと締めつけられる。

「なんで、こんなに強いのよ……」

涙が頬を伝い、ぽろぽろとこぼれ落ちる。こんなに苦しかったのなら。こんなに怖かったのなら。どうして誰にも助けを求めなかったの?どうして、私の前では笑っていられたの?

「…翼」

名前を呼んだ瞬間、視界が滲んだ。そして――また、景色が変わった。ここは病院だ。

「…もうできることはありません」

先生が静かに告げる。

「苦痛をとって穏やかに過ごせるようにしていきましょう」

翼の両親が息をのむ。

「そ、そんな…」

翼のお母さんが泣き崩れた。お父さんも、顔を伏せて肩を震わせている。けれど――。翼は、ゆっくりと姿勢を正した。そして、淡々と先生を見つめる。

「分かりました」

たった、それだけ。それ以上、何も言わなかった。