君が描いた色の中で、もう一度君に恋をする

部屋から話し声が聞こえ、私は思わず扉を覗く。

「息子さんの脳に、病気が見つかりました」

「…うそ」

思わず、声が漏れる。

「治療がどこまで効くかは、まだ分かりません。まずは薬を使って、病気がよくなるか経過を見ていきましょう」

「あの。治るんですか?」

震える声で、翼のお母さんが先生を見つめる。先生は、少しだけ目を伏せた。

「正直に言います。…難しいかもしれません。転移もしており、余命は数か月ほどです」

「…うそ」

足が、勝手に後ろへ下がる。嘘だ。そんなの、嘘に決まってる。翼が――?そのとき。ガラッ。病室の扉が開いた。

「翼……聞いてたのか」

翼のお父さんが、震える声で言う。そこに立っていたのは、翼だった。

「うん」

翼は、いつもと変わらない声で答えた。

「だって俺のことだし。隠されるのは違うだろ」

そして、少しだけ笑う。

「あー……まじか」

冷静な声。まるで、自分のことじゃないみたいに。でも――。

『死ぬってこと?』

翼の心の声が、聞こえた。

『俺…大好きな彼女がいて、幸せで。学校も楽しくて』

その声が、少しずつ震えていく。

『この先、やりたいことだって、たくさんあったのに』

ぎゅっと、胸が締めつけられる。

『…俺、死ぬの?』