シークレット―世界は守れますが、恋の仕方はわかりません―

「想真!」

「ママ!」

 母親の姿を見つけた瞬間、想真が走り出す。

「ママぁ!」

「想真!」

 母親も駆け寄り、しゃがみ込んだ。

 その胸へ想真が飛び込む。

「どこ行ってたの……!」

「ごめんなさい……!」

「心配したんだから……!」

「ごめんなさい……!」

 母親の声も泣いていた。

「よかった……」

 想真の黄色い帽子に顔を寄せる。

「本当に……よかった……」

「ママぁ……」

 想真も母親の服を強く握っている。

 直充は少し離れたところから二人を見ていた。

 未来では聞けなかった声。

 見られなかった光景。

 母親が想真を抱きしめている。

 想真も母親の腕の中にいる。

「…………」

 よかった。

 その言葉が、胸の中に静かに広がる。

「すみません」

 警察官が直充のところへ来る。

「見つけてくださったんですね」

「はい」

「どこにいました?」

「みずなみ広場の川辺です」

「川辺?」

「はい。足を滑らせていたので、念のため怪我がないか確認してください」

「分かりました」

 警察官の表情が引き締まり、親子の方へ向かう。

 やがて母親が直充のところへ来た。

「本当に……ありがとうございました」

「いえ」

「川にいたんですよね……」

「はい」

 母親の顔が強張る。

 想真を抱きしめる腕に、もう一度力が入った。

「本当に……」

 深く頭を下げる。

「ありがとうございます」

 直充も軽く頭を下げた。

「見つかってよかったです」

 それだけ告げて、直充はその場を離れた。