シークレット―世界は守れますが、恋の仕方はわかりません―

 まず中央公園へ向かった。

 遊具の周辺やベンチ、トイレの近くまで確認する。

 いない。

 次に商店街へ向かう。

「すみません。黄色いTシャツを着た、小学一年生くらいの男の子、今日来ませんでしたか?」

「黄色い服? うーん……今日は見てないと思うよ」

「そうですか。ありがとうございました」

 駄菓子屋を出る。

 図書館にもいない。

 駅の周辺も確認した。

 黄色い帽子が視界へ入るたびに目を向けるが、どれも違う。

 探しているのは直充だけではない。

 警察も、家族も、知人も、それぞれが自分にできる範囲で動いている。

 それでも見つからない。

 候補が多すぎる。

 公園にはいない。

 駄菓子屋にも来ていない。

 図書館にもいない。

 駅はまだ分からない。

 友達の家にも行っていない。

 住宅街も、川沿いも、まだ確認しきれていなかった。

 その間にも、時間だけが過ぎていく。

 母親たちがいた場所へ戻ると、想真はまだ見つかっていなかった。

「友達の家にはいませんでした」

「駅の方も引き続き確認しています」

「図書館にもいないそうです」

 警察も、家族も、知人も動いている。

 それでも見つからない。

「想真……」

 母親が写真を握りしめる。

「どこ行ったの……」

 直充は腕時計を見る。

 想真がいなくなってから、すでに一時間以上が経っている。

 公園。

 駄菓子屋。

 図書館。

 駅。

 友達の家。

 まだ確認しきれていない場所もある。

 その間にも、時間だけが過ぎていく。

「…………」

 鞄の中にあるものを思い出した。

 金色の懐中時計。

 昨日、五分ほど先を見た。

 けれど今、五分先を見ても、五分後も皆が想真を探しているだけかもしれない。

 それでは足りない。

 古い日誌には書かれていた。

 前より多くリューズを回すと、前より遠い未来が見えた。

 どれくらい先になるのかは分からない。

 そして、遠くを見るほど体への負担も大きくなる。

 昨日の眩暈と疲労を思い出す。

「…………」

 もっと先を見れば、どうなる。

 何が見えるのかも。

 戻ったあと、自分がどうなるのかも分からない。

「想真ー!」

 母親の声が響いた。

 返事はない。

 直充は顔を上げる。

 誰も諦めていない。

 それでも、時間は過ぎている。

「…………」

 昨日、決めた。

 便利だからでも、知りたいからでも使わない。

 必要なときだけ。

 なら。

 今は。

 直充は人目の少ない場所へ移動した。

 鞄から金色の懐中時計を取り出し、爪を蓋の縁へ引っかけて開く。

 止まった針。

 リューズへ指を掛けた。

「…………」

 昨日より多く。

 けれど、その先に何があるのかは分からない。

「想真ー!」

 遠くから、もう一度母親の声が聞こえた。

 直充はリューズを回した。

 手を離す。

 何も起きない。

 数秒。

 待つ。

 カチ。

 針が動いた。

 次の瞬間、視界が大きく揺らいだ。