シークレット―世界は守れますが、恋の仕方はわかりません―

「…………」

 同じ廊下。

 けれど。

 学生の位置も、作業員の動きも変わっている。

 直充は壁際を見る。

「…………」

 台車。

 動いている。

 ゆっくりと。

 車輪が回っていた。

「…………」

 やっぱり。

 見間違いじゃなかった。

 ストッパーは掛かっているように見える。

 それでも。

 台車は少しずつ通路を進んでいる。

 そして。

 前輪が、下り坂へ入った。

「…………」

 動きが変わった。

 ゆっくりだった台車が。

 速度を上げる。

「……っ」

 積まれた段ボール箱を載せたまま。

 重い台車が坂を下っていく。

 その先。

 一人の男子学生が歩いてきた。

 イヤホンをつけ、スマートフォンを見ている。

 台車には気づいていない。

「…………」

 直充の表情が変わる。

 台車と男子学生の距離が、一気に縮まっていく。

 このままなら。

「危な――」