ナツ君はみんなより頭いっこぶん背が高いから目立つんだ。
前髪と眼鏡で顔は完全ガードしているつもりでも綺麗な横顔のラインまではごまかせない。
溢れ出るオーラに女子たちのイケメンレーダーが確実に反応しちゃってる。
「ナツ君、こっち向いて?」
「えっ、何?」
急に振り返ってナツ君を見上げたから、びっくりさせてしまった。
だって私と目線を合わせてくれたら猫背にも二重顎にもなって雰囲気が変わるかなと思ったんだけど……何も変わらなくて無駄だった。
「……誰か見てんの?」
「うん。あっちに背中向けてて」
やだな、お願い気づかないで。
この幸せな時間が途切れないで欲しい。
向こうに気を張ってたら、ナツ君は前傾姿勢のまま私の肩を抱いてすっぽり胸の中に覆ってしまった。
「バレてんだとしたら顔隠さなきゃいけないのは紗知の方だから」
耳元でそっと呟いて、彼女たちから私の存在を隠すようにその視線の前に立ちはだかってくれた。
「大丈夫、この距離なら確かめようがないよ。でも念のため次の駅で降りよっか」
ナツ君は優しく笑って大きな揺れからしっかり守ってくれた。



