ナツ君がすやすや眠るこの時間、何か他にできることはないかなって考えた末に、キスの練習をすることにした。
そっと手を伸ばし、枕元のスヌーピーのぬいぐるみを取った。
この鼻先を唇に見立ててみよう。
ナツ君にくるりと背中を向けた。
ふわりと。
ちゅ、っと。
ぶちゅっ、と。
正面から。右から。左から。
顔、傾ける?
おでこにも、ほっぺたにも。
そうだ、手を添えてみるのが大事?
繊維の刺激でくしゃみを我慢するのが大変なだけな作業な気がするな……これに意味があるのか不安になってきた。
じゃあ、自分の手の甲にしてみようかな。同じ肌だもんね。
試しにチュッとしたけど特に何も感じない。
唇をあひるみたいにしてみるとか?
これもぴんとこない。
もうちょっとお肉のある場所ならどう?
手のひら、手首、肘の内側。
押し付ける、挟む、他は……何?
いや、技法みたいなことより気持ちが大事だよね。
いろいろと悩んだけど、なんの成果も得られないまま、アイディアが尽きた。
もうこれは、ナツ君を練習台にするしかないのでは。
でも起こしてしまうかも。
困ったな、と途方に暮れてスヌーピーに顔を埋めてため息をついた時だった。



