昨日電話でぼそっと話しただけなのに、ナツ君はぼっちの水やり当番のことを気にしてくれてたみたいだった。
助けて神様……そんなこと言われたら、さっきよりずっとナツ君のことを好きになってしまうじゃないですか!
だけどそんな重い想いを押し付けるのは気が引けてしまう。
「めったにないお休みで、それも急遽決まったオフなんでしょ? 一日中お部屋でまったりしたり買い物行ったり、自分のために時間使っていいんだよ」
園芸委員の仕事って地味だしきついし、汚れるし誰もやりたがらない。
大人ぶってそう説明したけどナツ君はきっぱりこう言った。
「一回でいいから紗知と一緒に登下校したいってずっと思ってたんだけど、夢叶えに来ちゃダメなの?」
キュンの弾丸が胸を貫いていった。
「それ私も一緒……夢だった!」
ナツ君も同じことを思ってくれてたなんて、感激。
「ふたりの夢が同時に叶うなんてサイコーじゃん」
「ほんとだね!」
やだな、泣いちゃいそうだ。
だって、そのためだけにわざわざ髪型を変えて眼鏡をかけて相馬君に制服まで借りて、うちまで来てくれたんだもん。
どれだけ私の心をくすぐったら気が済むの?
同じ制服姿を見れただけで胸がいっぱいなんだよ? 少し足りてない裾丈にすらキュンとしてるのに。
「いいからほら、行こ」
「うんっ!」
こうして駅に向かって一緒に歩いていると、現実味がなくてふわふわしてしまう。私たち今、堂々と一緒に登校してるんだ。
真夏の太陽の下で見るナツ君は、お世辞じゃなく輝いてる。
半袖白シャツに濃紺のネクタイっていう味気ないうちの学校の夏服がこんなに爽やかに見えたことなんかない。



