「カノジョの自覚全然足りてないじゃん」
「そんなことないよ、もう気づいた。今気づいたもん!」
「それが遅すぎだって言ってんの」
出掛けるところだったのにナツ君にひっぱられて部屋に逆戻り。
「なっ、ナツ君?」
「すぐに俺だって気づいてたらこんなことしないのに」
玄関ドアを背に追い詰められた。
朝から驚いたり刺激が強すぎたり近すぎたりで情緒が慌ただしい。
「あの、これから学校に行かなきゃいけなくて」
「当番だろ。知ってる」
ぐいっと顔が迫ってきて逃げ腰になった。鼻と鼻が触れそうな至近距離。
「会いたかったから会いに来た」
にこりと、魅惑的な微笑みでさらに迫ってくる。
「うぅ……それはめちゃめちゃ嬉しいです」
どきどきしすぎて敬語になってしまった。
こうなったら私はどこにも逃げられない。それがわかってるから、最近のナツ君は余裕でポケットに手を入れているくらい。



