近くの空き教室に入って廊下側の壁にふたりで屈み込んだ。
冷房が効いてて涼しいから少しほっとしたけど、コソコソしている分、緊張感がある。
普段なら誰にも声なんかかけられないのに、ナツ君がそばにいるとこんなに注目を浴びるんだ。
きっと人を惹き付ける力を持ってるんだろうな。だからこそ、誰にもみつかりたくない。
「なんか振り回してごめんな。でも慣れない嘘までついて俺のこと守ろうとしてる姿、なんかたまんなかった」
屈み込んだまま「ありがとう」って優しく頭を撫でられて緊張の糸が切れた。
最近のナツ君は時々私をふにゃふにゃにしてしまう。
「あとビブスのあいつって何? 今まで触られたりしてない?」
「ううん、大丈夫だよ。助けてくれてありがとう」
ほんとは時々ちょっかい出されてたけど秘密にしとこう。
それにさっきのことを思い出すと、嬉しくて顔が赤くなる。
でもデレデレしている場合じゃない。
廊下の向こうから数人がやって来る気配がして、その声がどんどん近づいてきた。



