よそ見なんてしてません!…たぶん。〜クールな外科医の独占欲が止まりません〜


 「白石」

 「……はい」

 「嫌だったら言えよ」

 さっきまであんなに強引だったくせに。こんな時だけ、ずるいくらい優しい。

 私は小さく首を横に振った。

 「嫌じゃないです」

 むしろ――。

 ずっと、先生に触れてほしかった。

 先生の目が私を見つめる。

 「……ほんとに?」

 「はい」

 少し恥ずかしくなって、先生の胸元に顔を埋める。

 「ただ、妄想とは比べ物にならないくらい、ヤバいです。心臓が壊れそうっ」

 そう言うと、フッと笑い声が降ってきて、額にキスが落ちる。

 「せ、先生の裸も何度も妄想してるんですけど、やっぱり、実際は破壊力がヤバそうで、ほんとの本当に鼻血とか出しちゃったらすいませんっ。でもーー」

 がんばります。

 なんてことまで言おうとした時、

 「もう黙れ。……大丈夫だから」

 優しい声色とともに、また唇を塞がれた。


 その夜。

 私は初めて、憧れていたその腕に抱かれた。

 ずっと大好きだった、先生の前腕。

 でも――

 その腕の中で思ったのは、前腕のことなんかじゃなく、

 ただ、この人が好きで、超絶幸せだということ。





 Fin.