その青は廻る

 あれから、月日が過ぎて、年を超えて、また月日が過ぎていた。その間、僕は歌手や俳優になって、とても充実していた。あれ以来、彼とはあまり会えていない。けど、会えば、お互い近況を話した。

 そして、あの日。僕は彼女と出会った。

 また歌がうたいたくなって、彼がいつでも来いとか言うから、文字通りに行っただけだ。いつもみたいにドアを開けたら、女の子が立っていて、少しだけ驚いた。
 とても可愛くて、眼差しが綺麗で、すぐ立ち止まった。ホントは話したかったけど、彼に怒られたから、いったんは引き下がってやった。

 そしたら、すぐに彼は彼女に飲み物を頼んだ。僕とは違って、言い方が優しかったし、大人の男を演じてるようだ。すぐにバレるのに、無駄なことをしている。
 でも、なんだか嬉しそうだし、僕も気になるから、あとで彼女と話してみよう。

 でも、すぐにチャンスが来た。彼女が飲み物を持ってきた。声を掛けたけど、どうやら困らせたようだ。寂しくなったけど、仕方ない。
 
 それから、真面目に仕事はしたけど、彼女のことが気になって、彼に名前を聞いた。彼は応えてくれたけど、僕はそれ以上、何も聞かなかった。

 そのあと、彼がトイレに行ったから、僕も休憩所に行った。そしたら、彼女の姿が見えて、空気の読める子だと思った。そこで彼のことを聞いてみたら、思った通りの反応だった。でも、彼女を困らせることはしたくない。だって、女の子は守らないと。

 でも、僕は少し、いや、かなりやりすぎたようだ。

 彼は怒ってなかったし、結果的には何もなかったけど、万が一があったら殴ってたかもしれない。それに、彼女の連絡先をゲットできたから、もうどうでもいい。いや、注意は入れておこう。だって、彼に余裕があるとは思えないし、僕も殴りたくない。というか、争いごとは嫌いだ。

 ここまでが、ある日のことで、僕が見た佐伯龍騎の姿だ。

 多分、いや、彼も気づいてるかもしれない。僕がここを目標にしたことを。

 そして夏が来て……。

「翔太さん、どっちの水着がいいと思います?」と、彼女がファッション雑誌を見ながら聞いてきた。だから、僕の好みを指したけど、彼女はあまり気にしてないようだ。

 代わりに、近くにいた彼が、ものすごい顔で見ている。

「やっぱり、翔太さんが選んでくれたほうにしようかな……」彼女の言葉に、どや顔してやった。

『あ、いま舌打ちした。こわ』とか思ったけど、彼なら……。

 まぁ、この際、どっちでもいいか。