君のとなり 〜約束の168〜

試験が終わった。

あれだけ長かった受験勉強も、ようやく終わった。

結果が出るまでの時間は、思っていたよりずっと長く感じた。

そして――

合格発表の日。

スマホを握りしめて、合格発表のページを開いた。

受験番号と必要な情報を入力する。

結果が表示されるまでの数秒が、ものすごく長く感じた。

そして――

画面に表示された文字を見た瞬間、胸がいっぱいになった。

私は、合格した。

すぐに翔へ連絡した。

『翔、受かったよ』

送信してから、スマホを握ったまま待つ。

すぐに返信が来た。

『マジで?』

『うん!』

『やったじゃん!』

その文字を見ただけで、翔の笑顔が浮かんだ。

その日の放課後。

私たちはいつもの場所で会った。

顔を合わせた瞬間、どちらからともなく笑った。

「おめでとう、瑠夏」

「ありがとう」

「頑張ったな」

「翔が応援してくれたから」

「俺は何もしてねぇよ」

「したよ」

私は首を横に振った。

新幹線のホームで握ってくれた、あの手。

巻いてくれたマフラー。

「瑠夏なら絶対大丈夫」って言ってくれた声。

全部、覚えている。

「翔がいてくれたから、頑張れた」

そう言うと、翔は少し照れたように笑った。

「そっか」

その笑顔を見て、私も笑った。

嬉しい。

本当に嬉しい。

これで私も、春から新しい場所へ進める。

翔と同じように、未来が決まった。

なのに――

ふと、胸の奥がきゅっとした。

高校生活は、あと少し。

教室で会えるのも。

放課後に一緒にいられるのも。

当たり前みたいに隣を歩けるのも。

もう、残りわずかなんだ。

「……ねえ、翔」

「ん?」

「卒業まで、あとちょっとだね」

翔も、黙って頷いた。

「そうだな」

嬉しいはずなのに。

合格した喜びの中に、寂しさが混ざっていく。

二人とも、これから先へ進んでいく。

それは嬉しいこと。

ずっと願っていたこと。

それなのに。

今まで当たり前だった毎日が、少しずつ終わっていく。

「寂しいね」

私が呟くと、翔は少しだけ私との距離を縮めた。

「でもさ」

「うん?」

「卒業しても、俺たちは俺たちだろ」

その言葉に、私は顔を上げた。

「……うん」

「だから、大丈夫」

翔が笑う。

その笑顔を見ながら、私は小さく頷いた。

大丈夫。

そう思いたかった。

今はまだ――

こうして翔の隣にいられる。

だから私は、残された時間を大切にしたい。

嬉しい気持ちも。

寂しい気持ちも。

全部、翔と一緒に。