後夜祭の夜。
昼間の賑やかさが少しずつ落ち着き、校庭には祭りの終わりを惜しむような声が残っていた。
その向こうで、花火が夜空に上がる。
パン――。
大きな音が響き、夜空いっぱいに光が広がった。
私は思わず顔を上げる。
ここは去年と同じ場所。
体育館の扉から続く外の通路。
人の流れから少し離れた、誰もいない場所。
去年、翔と二人で花火を見た場所。
あの日、初めて翔と唇を重ねた場所でもあった。
「……綺麗」
私が呟くと、背後から翔の気配が近づいた。
次の瞬間、翔の腕が私を包む。
ぎゅっと抱きしめられて、私は少し驚いた。
「……翔?」
「……もう、離したくない」
その声は、少しだけ震えていた。
私は何も言わず、翔の腕にそっと手を重ねた。
この数週間、ずっとすれ違っていた。
翔からメールが届いても、私はすぐには返せなかった。
返したとしても、短い言葉だけ。
翔は何度も話しかけようとしてくれた。
でも私は、まだ素直になれなくて。
顔を合わせても、まともに目を合わせることができなかった。
寂しかった。
我慢していた。
それでも、翔が何度も私のところへ来ようとしてくれていたことは分かっていた。
だから今、こうして翔の腕の中にいることが嬉しくて仕方がなかった。
「……私も」
小さく答える。
翔の腕に、少しだけ力がこもった。
やがて翔が、ゆっくり私の前に回る。
目が合う。
去年、この場所で初めてキスをした。
あの日よりも、二人の距離はずっと近い。
嬉しいことも。
苦しいことも。
離れたくないと思う気持ちも。
それでも相手の夢を応援したいと思う気持ちも。
たくさんのことを知った。
翔がそっと私の頬に触れる。
「……好き」
まっすぐな瞳だった。
胸の奥が、熱くなる。
「……私も」
翔が少しだけ笑う。
そして、ゆっくり顔を近づける。
私は目を閉じた。
花火の音が響く中、二人の唇がそっと重なる。
去年とは違う。
あの頃は、ただドキドキしていた。
今は、離れてしまう未来を知っている。
それでも、この人と一緒にいたいと思っている。
だから、離れたくないという気持ちごと確かめるように、二人はしばらくそのままでいた。
やがて翔がゆっくり離れる。
私は恥ずかしくなって、少し俯いた。
そんな私を見て、翔がふっと笑う。
「……照れてる?」
「……翔のせいでしょ」
「そうだな」
嬉しそうに笑う翔を見て、私も笑った。
そして翔は、もう一度私を強く抱きしめる。
「……もう絶対、離さない」
その言葉に、私は翔の胸に顔を埋めた。
「うん……」
来年の夏には、私たちは違う場所にいるかもしれない。
今までみたいに、毎日会うこともできない。
それでも。
今日、この場所で確かめた気持ちは、きっと変わらない。
夜空には、最後の花火が大きく咲いた。
その光の下で、私は翔の手を握る。
翔も、強く握り返してくれた。
離れても。
同じ空の下で、また笑えるように。
今はただ、この温もりを大切にしたかった。
昼間の賑やかさが少しずつ落ち着き、校庭には祭りの終わりを惜しむような声が残っていた。
その向こうで、花火が夜空に上がる。
パン――。
大きな音が響き、夜空いっぱいに光が広がった。
私は思わず顔を上げる。
ここは去年と同じ場所。
体育館の扉から続く外の通路。
人の流れから少し離れた、誰もいない場所。
去年、翔と二人で花火を見た場所。
あの日、初めて翔と唇を重ねた場所でもあった。
「……綺麗」
私が呟くと、背後から翔の気配が近づいた。
次の瞬間、翔の腕が私を包む。
ぎゅっと抱きしめられて、私は少し驚いた。
「……翔?」
「……もう、離したくない」
その声は、少しだけ震えていた。
私は何も言わず、翔の腕にそっと手を重ねた。
この数週間、ずっとすれ違っていた。
翔からメールが届いても、私はすぐには返せなかった。
返したとしても、短い言葉だけ。
翔は何度も話しかけようとしてくれた。
でも私は、まだ素直になれなくて。
顔を合わせても、まともに目を合わせることができなかった。
寂しかった。
我慢していた。
それでも、翔が何度も私のところへ来ようとしてくれていたことは分かっていた。
だから今、こうして翔の腕の中にいることが嬉しくて仕方がなかった。
「……私も」
小さく答える。
翔の腕に、少しだけ力がこもった。
やがて翔が、ゆっくり私の前に回る。
目が合う。
去年、この場所で初めてキスをした。
あの日よりも、二人の距離はずっと近い。
嬉しいことも。
苦しいことも。
離れたくないと思う気持ちも。
それでも相手の夢を応援したいと思う気持ちも。
たくさんのことを知った。
翔がそっと私の頬に触れる。
「……好き」
まっすぐな瞳だった。
胸の奥が、熱くなる。
「……私も」
翔が少しだけ笑う。
そして、ゆっくり顔を近づける。
私は目を閉じた。
花火の音が響く中、二人の唇がそっと重なる。
去年とは違う。
あの頃は、ただドキドキしていた。
今は、離れてしまう未来を知っている。
それでも、この人と一緒にいたいと思っている。
だから、離れたくないという気持ちごと確かめるように、二人はしばらくそのままでいた。
やがて翔がゆっくり離れる。
私は恥ずかしくなって、少し俯いた。
そんな私を見て、翔がふっと笑う。
「……照れてる?」
「……翔のせいでしょ」
「そうだな」
嬉しそうに笑う翔を見て、私も笑った。
そして翔は、もう一度私を強く抱きしめる。
「……もう絶対、離さない」
その言葉に、私は翔の胸に顔を埋めた。
「うん……」
来年の夏には、私たちは違う場所にいるかもしれない。
今までみたいに、毎日会うこともできない。
それでも。
今日、この場所で確かめた気持ちは、きっと変わらない。
夜空には、最後の花火が大きく咲いた。
その光の下で、私は翔の手を握る。
翔も、強く握り返してくれた。
離れても。
同じ空の下で、また笑えるように。
今はただ、この温もりを大切にしたかった。



